善峯寺 薬師堂
善峯寺 薬師堂
三間三間。
入母屋造。
本瓦葺。
元禄14(1701)年、再建。
◎持田ノ眼◎
西山にある善峯寺境内の一番高台に位置する。
八百屋仁左衛門は、
なかなか子宝に恵まれなかったことから、
善峯寺に参篭して、ようやくのことに子供が生まれた。
生まれた子は、玉のように可愛らしい女の子であった。
その子こそが、桂昌院である。
しかし、仁左衛門が没し、その後、一時期、
桂昌院と母は、善峯寺で過ごしたとされている。
それからの桂昌院のシンデレラストーリーは、
誰もが知るところである。
以来、この薬師堂に安置されている薬師如来は、
「出世薬師」と呼ばれ、篤い信仰を集めている。
桂昌院は、この薬師如来について、
「たらちをの 願いをこめし 寺なれば
われも忘れじ 南無薬師仏」
と歌を残している。
自らの誕生を祈念し、
待ち焦がれてくれた父に対する
桂昌院の思いが込められた薬師如来なのである。
薬師堂前からの眺めは絶景で、
また背後は広い庭園となっており、
そこから受ける開放感は、
格別のものがある。