本隆寺 千代野井 境内に遺る井戸。
◎持田ノ眼◎ 本堂のすぐ前に位置する。 鎌倉時代、千代野姫が、 満月の夜に、この井戸から、 水を汲もうとした時に、桶の底が抜け、 桶の水面に映っていた美しい月の姿が水と共に、 一瞬にして消え去ってしまった。 このことに無常を感じた千代野姫は出家を決意し、 無外如大尼となった。 千代野姫は、鎌倉幕府の有力御家人である安達泰盛の娘で、 金沢顕時の室となった女性と伝えられる。 その千代野姫の実家である安達氏は、 『霜月騒動』によって、滅ぼされてしまい、 日本史の表舞台から消え去った。 千代野姫の悟った「無常」は、 とても深いものであった。