祇園祭の前祭に巡行する鉾。
謡曲「菊慈童」に因む鉾。町内に、夷社(恵比須社)が存在したことから、『応仁文明の乱』以前は、「夷山」が出されていた。『応仁文明の乱』後、夷社の傍に「菊水の井」に因み「菊水鉾」となった、と言う。
鉾町の行事として、7月13日から16日まで、表千家、裏千家、遠州の各流派に依る茶会が催されている。
稚児人形は「菊慈童」、「菊丸」。
【歴史】
天明8(1788)年、『天明の大火』で焼失するも復興する。
元治元(1864)年、『禁門の変(蛤御門の変)』で焼失し甚大な被害を受ける。復興は断念され、懸装品は山伏山、鉦も他の鉾に譲ったほどであった。
昭和28(1953)年、念願の復興を果たす。
平成25(2013)年、前掛「大黒天とえびす神図」を新調。
平成26(2014)年、胴掛を新調。
平成27(2015)年、胴掛「毘沙門天と弁天」を新調。
平成28(2016)年、後掛「波上の布袋」を新調。平成の前掛、胴掛、後掛の新調が終了(費用は合計8000万円)。
【鉾頭】
鉾頭は、十六弁の菊花。
【額】
篆書掘りの「菊水」額。このような額を装飾するのは、菊水鉾のみである。
【天王人形と天王台】
天王人形は、彭祖。古代中国で300歳まで生きたとされる仙人。右手に柄杓を持って、左手には盃を持つ姿。
【真木と網隠し】
真木と網隠し。
【榊】
榊。
【大屋根】
巡行に参加する山鉾の中で唯一、大屋根正面に唐破風を持つ。前後の懸魚には、それぞれ鳳凰の彫刻が為されている。
【水引】
天水引。
天水引は、垂簾となっている。この垂簾の天水引は菊水鉾のみである。天井幕は、皆川月華の「雲龍図」。
前水引。
前水引。
二番水引。
下水引は、「鳳凰青鸞」。二番水引「春景吉野桜図」、「秋景龍田紅葉図」等がある。
【前掛】
前掛「鶴図」。
前掛「昇龍図」。
前掛「大黒天とえびす神図」。
前掛は、昭和時代の「鶴図」、「昇龍図」がある。平成25(2013)年、前掛「大黒天とえびす神図」綴織が新調される。
【胴掛】
胴掛「麒麟図」。
胴掛は、昭和時代のもので、左胴体に「麒麟図」、右胴体に「獅子図」である。
胴掛「獅子図」右胴側。
胴掛。
胴掛「毘沙門天と弁天」右胴側。
【後掛】
見送の陰になって巡行時には見にくい後掛は、「昇鯉図」である。
平成28(2016)年に新調された「波上の布袋図」綴織である。この後掛の完成に依り、平成25(2013)年から進められていた「平成の七福神」の新調は全てが揃った。
【見送】
「深山菊水図」と「孔雀花草図」を所有する。
【角房】
角房には、薬玉が吊るされている。上から、総角結び、薬玉、菊花結び、薬玉、菊花結び、長房。
【授与品 等】
菊水鉾は、不老長寿、商売繁盛に、ご利益があるとされる。
【日程】
7月10日、鉾建て。
7月12日、曳初め。
7月16日、宵山。
7月17日、巡行。
京都市下京区室丸通四条上ル菊水鉾町。