祇園祭の前祭に巡行する山。
謡曲「芦刈」に因む山。
一組の貧しい夫婦の物語で、妻が乳母として宮仕えし出世。残された夫は芦を刈って売る困窮の暮らしをすることとなる。それから3年後、二人は再会し、共に都で仲良く暮らしたとする謡曲。
【ご利益】
謡曲「芦刈」に因み、夫婦和合、男女円満のご利益があるとされる。また、「芦刈」は「悪しを刈る」に通じることから、疫病封じの山とされている。
【歴史】
天明8(1788)年、『天明の大火』で山町が被害を受ける。
寛政4(1792)年、巡行に復帰。
昭和61(1986)年、前掛「凝視」を新調する。
平成2(1990)年、胴掛「豊公獅噛鳥獣文」を新調する。
平成6(1994)年、胴掛「燕子花図」を新調する。
【御神体人形旧頭】
御神体人形の旧頭は、天文6(1537)年に製作されたもの。
【綾地締切蝶牡丹片身替小袖】
安土桃山時代の「綾地締切蝶牡丹片身替小袖」は、織田信長から拝領したものとも言われ、御神体人形の衣装として祇園祭で現存最古のもので、重要文化財となっている。
【真松】
真松。
【水引】
前水引。
前水引は、「波濤に鳥」中国刺繍で、天保3(1832)年のもの。
現在は、欄縁が水引の代わりに用いられており巡行に飾られることは無い。
【前掛】
前掛には、「凝視」段通が使われる。他に、ベルギー製毛綴壁掛「欧風景(4枚継ぎ)」、江戸時代の「大菊花文様」綴錦、昭和時代の「凝視」段通を所有。なお、「欧風景」は、霰天神山の前掛と出所が同じと見られ、鶏鉾の前掛との関係も指摘されている。
【胴掛】
胴掛は、江戸時代の「雲龍図」、昭和時代の「趣楽」等、平成になって製作された豊公獅噛鳥獣文」綴織、「燕子花図」綴錦を所有。このうち「雲龍図」は、天保3(1832)年に清の官服を仕立て直して作られたものである。
【見送】
見送は、明製の見送「鳳凰幻想動物牡丹図」刺繍、「波濤に龍八宝散らし文」綴織、江戸時代の「唐子嬉遊図」綴織、「鶴図」綴錦を所有。
【装飾金具類等】
装飾金具類等。芦花は、正絹製の造花である。
【日程】
7月12日、山建て。
7月16日、宵山。
7月17日、巡行。
京都市下京区綾小路通西洞院西入ル芦刈山町。